へき地に良質な医療の提供を続けて
公益社団法人地域医療振興協会
会 長
わが国の医療水準は欧米のどこにも遜色なく、また、国民皆保険制度により誰もがその先端医療の恩恵に与ることができる恵まれた環境にあると思われています。一方、医療資源、特に医師が大都市に偏在しているため、必ずしもこの恩恵に十分浴することが出来ない地域があり、この問題の解消に向けて、昭和47年に自治医科大学が設立され、既に4,800人以上の卒業生が、それぞれの出身県の地域医療に貢献しています。更に、平成20年には地方の国公立の大学にその地域に働く医師の育成に特化した地域枠という制度も設けられました。しかし、今なお医療僻地と言わざるを得ない地域が多数存在することも事実です。
地域医療振興協会は、へき地医療のさらなる充実を目的に、自治医科大学第1期生の吉新通康理事長を中心に同大学の卒業生により、母校、自治医科大学と自治省(当時)の支援を受けて、昭和61年に設立されました。以来、志を同じくする他大学医学部の出身者も加わり、自らの地域医療実践の経験を生かして、無医地区解消のための活動を続けております。関東の数カ所で病院・診療所の運営を開始してから39年間、たゆまぬ努力を続け、現在では北海道から沖縄まで、全国で病院(内8病院は基幹型臨床研修病院)・診療所・介護施設を88個所(令和7年4月運営開始予定施設を含む)と2つの看護専門学校を運営しています。また、専門的な知識や技術に加えて、その専門性にとらわれない総合的な医療を提供できる総合医の育成・研修のための教育活動にも活発に取り組んでおります。
今後とも、当協会は、自治医科大学と連携し、地域医療のさらなる充実へ向けての取り組みを続けまいります。同じ志の医療関係者のご参加を期待するとともに、関係各位の変わらぬご支援、ご鞭撻をお願い申し上げます。
地域医療の諸問題の解決に向けて
公益社団法人地域医療振興協会
理 事 長
「わが国の地域医療の確保と質の向上」を目的として地域医療振興協会が、自治医大の卒業生が中心となって誕生してから39年が経過します。この間地域医療を取り巻く環境は大きく変化しましたが、依然として医師などの医療人の不足が大きな問題となっております。医師や医療施設などの医療資源は大都市や地方の都市部に偏在しており、山間、離島といった「へき地」には、日常の医療にも恵まれない地域が依然多数存在します。私たちはへき地での医療を担当した経験を通じ、へき地医療を取り巻く諸問題を解決し、へき地医療の確保と質の向上を目指す総合的な組織が必要であると痛感してまいりました。
地域医療振興協会は、へき地医療に実績のある医師を会員としたへき地医療のための団体です。無料職業紹介事業での医師の斡旋、へき地等での医療施設の指定管理等での運営、拠点病院からの代診医の派遣やネットワークの構築、自治体の保健医療福祉計画の立案や支援、へき地を担う「総合医」の養成や生涯教育、医学生のへき地医療体験の支援、『月刊地域医学』の発刊、自治医大での寄附講座「医療人キャリア教育開発部門」の開設、COVID-19などの情報共有や相互支援など、へき地医療を支える事業を総合的に展開しております。医療過疎の地域は依然多く、期待される支援も幅広く、解決困難なものばかりですが、協会が一体となって積極的に団結、運営に当たれば、必ずや解決できるものと信じ活動してまいります。
当協会の運営にあたりまして、日頃ご指導、ご協力いただいております内閣府、総務省、厚生労働省、各都道府県並びに市区町村、自治医科大学をはじめとした関係各位に感謝申し上げますとともに、今後より一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。